家づくりを成功させるためには、工務店に具体的な要望を正確に伝えることが重要です。自分の理想やこだわりを形にしてもらうためには、適切なコミュニケーションが欠かせません。しかし、要望を伝える際にどのように伝えるのが効果的か悩む方も多いでしょう。そこで今回は、工務店に自分の希望を的確に伝えるためのコツを紹介します。
まずは要望書を作成しよう
家づくりにおいて、自分たちの理想を形にするために、まずは要望書を作成することが大切です。要望書とは「こんな家に住みたい」「こんな風に暮らしたい」という要望を具体的にまとめたヒアリングシートのことを指します。
この要望書には、間取りや家族構成、採用したい設備や仕様、素材、デザインのイメージなど、家づくりに関するあらゆる情報を記載します。要望書に決まったフォーマットやルールはなく、自由に自分たちの希望を記載できるのが特徴です。
要望書を作成するメリット:言語化して整理できる
施主自身の頭のなかにある漠然としたイメージや希望を、言語化して整理できる点が大きなメリットです。家づくりに対する理想やこだわりは、多くの場合、感覚的なものであり、具体的に言葉にするのは難しいこともあります。
しかし、要望書を作成する過程で要望を書き出すことで、自分が本当に求めているものが明確になります。このようにすると、家族で意見を共有したり、優先順位をつけたりすることも容易になるでしょう。
要望書を作成するメリット:情報の抜けや漏れを防げる
要望書があることで打ち合わせの際に、情報の抜けや漏れを防ぐことができるのもメリットです。家づくりの打ち合わせでは、さまざまなテーマについて話し合うため、細かい点や重要な要望を伝え忘れてしまうことがしばしばあります。
しかし、事前に要望書として自分たちの希望をまとめておけば、打ち合わせ時に忘れることなく、すべてのポイントを網羅的に伝えられるでしょう。
要望書を作成するメリット:工務店とのコミュニケーションツールになる
要望書は工務店とのコミュニケーションツールとしても非常に有効です。要望が曖昧なままでは、工務店側にとっても具体的な提案や判断が難しく、結果的にお互いのイメージがすれ違ってしまう可能性があります。
しかし、要望書にしっかりと自分たちの希望を記載しておけば、工務店はそれを基にした具体的な提案やアドバイスをおこない、施主の理想により近い家づくりが実現しやすくなるでしょう。
要望書の作成方法
要望書の作成は、新しい家を建てる際やリフォームを依頼する際に、工務店に自分たちの希望や要望を明確に伝えるための重要なステップです。ここでは、要望書を作成する際の基本的なポイントや、どのような情報を盛り込むべきかについて解説します。
家族構成を記入する
家族の人数や年齢、ペットや車の所有状況などを明記しましょう。車やバイクの所有台数を正確に記載すれば、必要な駐車スペースが明確になり、無駄のない設計が可能になりますし、ペットに優しい住環境の計画などもスムーズに進みます。
また、家族構成の変化が予想される場合は、将来のことも考慮して書き出すことが重要です。
土地情報を記入する
土地に関する情報も、忘れずに記載するようにしましょう。住所や土地面積、建蔽率(けんぺいりつ)などを具体的に書き出すことが必要です。
建蔽率とは、建築敷地面積に対する建築面積の割合を指し、これが高すぎると風通しや防災面に悪影響が出るため、適度な空地を確保することが求められます。これらの数値は工務店が設計をおこなう際の重要な判断材料となるため、正確に記載することが大切です。
採用したい仕様や設備を書き出す
どのような設備や仕様を採用したいかについて具体的に書き出しましょう。床暖房や食洗機など、希望する設備があれば、それらを明記します。
この際、キッチン、洗面所、トイレといった場所ごとに分けて書き出すと、工務店側も設計の際に具体的なイメージが湧きやすくなります。
各部屋や各スペースごとの要望を書き出す
家のなかでどの部屋に何を求めるか、生活をイメージしながら具体的に記載しましょう。具体的には、子供部屋の位置や寝室の位置、リビングの広さなどを記載します。
このとき、1階と2階に分けて書き出すと、より整理された要望書を作成できるのでおすすめです。生活動線や日々の使い勝手をイメージしながら、各部屋で重要視するポイントをしっかりと伝えることが、満足度の高い家作りにつながります。
家具家電のサイズや収納予定の物を書き出す
家具や家電のサイズや、収納予定のアイテムの数も記載しておきましょう。大型の冷蔵庫やソファーなどの搬入がスムーズにおこなえるよう、搬入経路や窓のサイズを考慮することが重要です。
たとえば、冷蔵庫なら「370L」など具体的なサイズや仕様を書き出し、服や靴、おもちゃなどの量もあらかじめ記載しておくことで、実際に住み始めた際の収納不足を防げます。
参考画像や写真をまとめる
自分たちが思い描く住宅のイメージを、できるだけ視覚的に伝えましょう。Instagramやカタログ、雑誌の写真などを参考にして、工務店に「こんな家にしたい」と伝えるのも効果的です。
具体的なイメージがある場合は、口頭で説明するよりも、画像を見せることで工務店が理解しやすくなります。
要望書作成時の注意点
要望書を作成する際には、家づくりにおける希望や理想を具体的に伝えることが重要ですが、それと同時にいくつかの注意点を踏まえて作成することが、スムーズなコミュニケーションやトラブル回避につながります。
ここでは、要望書作成時の具体的な注意点を紹介します。
要望には理由を添える
要望書を作成する際には、ただ希望を羅列するだけでなく、その要望の裏にある理由を明確に伝えることが重要です。工務店や設計士は、なぜそのような間取りや仕様を希望するのか、その理由を知ることでより適切な提案ができるからです。
たとえば「玄関を広くしたい」といった要望だけでは、具体的なプランニングに苦労する場合があります。そのため、「ベビーカーを玄関内に置きたい」「自転車を収納したい」といった具体的な理由を添えることで、玄関の広さや配置について、設計士が適切な提案をしてくれる可能性が高まります。このように、要望には必ず理由を明記するようにしましょう。
予算に余裕をもたせる
家づくりは、予算が限られているなかで進めることが一般的ですが、予算に余裕をもたせることも重要なポイントです。初めに工務店から提案される仕様や設備は最低限のものが多く、打ち合わせが進むにつれてグレードアップを希望する場合もあります。
そのため、予算の5%から10%程度は余裕をもたせておくと、プラン変更や設備のアップグレードに柔軟に対応できるようになります。
重要度や優先度を明記する
要望書は、すべての希望が同じ重要度をもつわけではありません。家づくりの過程で、予算やスペースの制約などにより、希望するすべてを実現することが難しい場合も出てきます。そんな時のために、各要望には重要度や優先度を付け加えることが大切です。
たとえば「リビングは広くしたいが、寝室はコンパクトでよい」といった場合、リビングを優先してスペースを確保する方向で調整が可能です。このように、各項目に対して優先順位を付けることで、設計士が予算やスペースの制約を考慮しながら、どの要望を優先するべきか判断しやすくなります。
まとめ
要望書の作成は、理想の家づくりを実現するための第一歩です。要望を明確に伝えることで、工務店や設計士とのスムーズなコミュニケーションが可能になります。作成時には、理由を添えて説明し、予算の余裕や優先度を考慮することが重要です。しっかりと要望書を準備することで、理想の家に近づくための基盤が整います。この記事で紹介したポイントを参考にしながら、まずは自分たちの要望を整理してみましょう。