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公開日:2022/10/15  最終更新日:2022/09/28

家の空気環境はどうやったらよくなる?子どもも安心して過ごせる家づくり


新型コロナウイルスが流行して早数年、家の空気環境に関心を持つ人が増えてきました。空気環境はそこで過ごす人々の体に影響を与えます。この記事では、どうしたら家の空気環境を整えられるのかをわかりやすくご紹介。室内の空気環境を整えるためのポイントを学び、大人から子どもまで家族みんなが安心して暮らせる家づくりを実現しましょう。

室内の空気環境が悪いとどうなるのか

そもそも空気環境が悪い状態というのは、ほこりや花粉、化学物質などの人の体に害のあるものが空気中に多く含まれている状態のことです。

たとえば、建材に使われるホルムアルデヒドが室内に分散しているとシックハウス症候群を引き起こしたり、室外から室内へ花粉が入り込むと花粉症の人は目がかゆくなったりするなど、屋内の空気環境はそこで過ごす人々に悪影響を与えうることが知られています。一見すると害のないように思われる水蒸気でも空気中に高濃度で含まれれば、結露やカビの原因となって家が劣化するため、注意が必要です。

ほかにも、よごれた空気はアトピー・ウイルス性疾患・アレルギー・ぜんそくなどの症状を引き起こす可能性があります。新型コロナウイルスの感染が長期化している昨今、家族の健康が守り、家の劣化を防ぐためにも室内の空気環境を整えることはとても重要なのです。

空気環境をきれいに保つ設計とは

上でお伝えしたように、空気環境はその部屋で過ごす人々に影響を与えます。そのため、人々が快適に過ごすには空気環境をきれいに保つことが必要です。屋内の空気環境をきれいに保つためには、住まいを設計するときに以下のような工夫ができます。

それは、排気・給気を計画すること、ホルムアルデヒドの放散量が少ない建材を選ぶこと、給気口のフィルターにこだわることです。それぞれ詳しくご紹介しましょう。

空気環境をきれいに保つ設計(1)排気・給気を計画すること

排気と給気は、空気環境をきれいに保つ方法のなかでももっともシンプルなものでしょう。室内の汚れた空気を室外に排出し、屋外から新鮮できれいな空気を取り込むことで、室内の空気環境を整えられます。近年の新築一戸建てでは、24時間換気が行われる建物も多いです。住宅に設置する24時間換気の設備には、第1換気と第3換気とがあります。第1換気は、排気と給気の双方でファンを使って、ファンの風力で強制的に排気と給気を行うものです。

一方、第3換気では、排気にのみファンを使い、給気は給気口を通して行われます。第1換気と第3換気のどちらを設置するかは、予算や住宅の構造に応じてプロに相談しながら選びましょう。

空気環境をきれいに保つ設計(2)ホルムアルデヒドの発散量が少ない建材を選ぶこと

シックハウス症候群を引き起こす原因物質のひとつにホルムアルデヒドがあります。ホルムアルデヒドは家具や建材に使われている接着剤や塗料に多く含まれており、室内に発散されます。室内の空気環境をきれいに保つには、このホルムアルデヒドが発散しづらい建材を選ぶことが重要です。

建材にはホルムアルデヒドの発散濃度をもとに「F☆☆☆☆(エフフォースター)」、「F☆☆☆」、「F☆☆」、「F☆」によって等級付けされています。F☆☆☆☆の等級が付けられた建材は、ホルムアルデヒドがもっとも発散しづらいもので、安全基準がもっとも高いです。星が減るごとに等級は下がるので、この等級を目安にホルムアルデヒドが放散しづらい建材を家づくりに採用しましょう。

空気環境をきれいに保つ設計(3)給気口のフィルターにこだわること

第3換気では給気は給気口を通して行われます。このとき、給気口のフィルターにこだわることで、屋外から汚れた空気を取り込まないようにすることができるのです。ほこりはもちろん、PM2.5や花粉などの小さな物質もカットできるフィルターがあります。家が建った後も年に1回フィルターを交換することで、安心できるでしょう。

断熱や気密も重視しよう

ここまで室内の空気環境をきれいに保つための設計時のポイントについてご紹介しました。しかし、空気環境を保つためになによりも重要なのが、断熱性と気密性が高い住宅であることです。なぜなら、いくら高性能な設備で空気環境を整えようとしても、断熱性と気密性が低い住宅だと効果が得られないからです。こちらで詳しく解説しましょう。

そもそも断熱性・気密性とは

そもそも断熱性とは、熱を遮断する性能を意味します。断熱性が高い家は、屋内の空気が屋外の気温の影響を受けづらいです。そのため、屋外の環境に左右されずに快適な室温を保つことができます。対して気密性とは、内部の空気が外部に漏れない性質のこと。気密性の高い家は、室内と室外との空気の出入りが少ないです。

そのため、室内の空気環境をコントロールしやすいといわれています。高断熱・高気密の住宅は、壁に断熱材を入れたり、窓に複層ガラスを用いたりすることで実現できるでしょう。

屋内の空気環境を整えるうえで断熱性と気密性が重要な理由

高気密と高断熱はパートナーのような関係です。なぜなら、気密性が低いと高断熱は実現せず、逆にいくら気密性を高めても断熱性が低くければ室温は外気の影響を受けてしまいます。このように密接なつながりをもつ高気密と高断熱をセットで取り入れることで、屋内の空気環境はコントロールしやすくなり、屋外の環境に左右されずに一定の状態を保つことができるのです。

高断熱・高気密住宅のメリット

以上のように室内の空気環境をきれいに保つには高断熱・高気密であることが重要です。しかし、高断熱・高気密住宅には、それ以外にもメリットがたくさんあります。ここからはそれらのメリットのうち、2点をご紹介します。

それは、体に優しいことと、お財布にも優しいことです。高断熱・高気密の家では部屋ごとの室温の差が小さいため、部屋を移動しても室温の変化を感じづらい傾向にあります。しかし、高断熱・高気密ではない家では急激な温度変化が起こることがあり、血圧が上下し、その結果、心臓や血管に負担がかかってしまうのです。

この負担のことをヒートショックといいますが、高断熱・高気密の家はこのヒートショックを予防できることで知られています。高断熱・高気密住宅は空調の空気が効率的に室内全体にいきわたるため、冷暖房の使用を抑えることができ、その結果、省エネルギー対策にも一役買うのです。省エネあることは、環境に優しいのはもちろん、光熱費の節約にもつながるでしょう。

まとめ

室内の空気環境をきれいに保つことはとても重要です。空気環境が悪いとウイルス性疾患やぜんそくなどの症状を引き起こす可能性が高まります。室内の空気環境を整えることで家族の健康が守れるのです。この記事では、室内の空気環境をきれいに保つためのポイントを詳しくご紹介しました。ホルムアルデヒドの放散量が少ない建材を選んだり、給気口のフィルターにこだわったりすることで、快適な空気環境が実現できます。それと同時に断熱や気密にも着目することも重要です。高断熱・高気密住宅は、室内環境がコントロールしやすいだけでなく、体にもお財布にも優しいという魅力があります。子どもはもちろん家族全員が安心して快適に過ごせるように、室内の空気環境をきれいに保ちやすい住まいをぜひ実現してください。