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公開日:2023/05/15  最終更新日:2023/05/23

ガルバリウム鋼板を使った注文住宅のメリット・デメリット


注文住宅の最大のメリットは、幅広い範囲で自由に設計できる点です。内装はもちろんですが、屋根や外壁など自由に選べます。しかし、自由だからこそ迷う方も多いのではないでしょうか。とくに屋根や外壁は、住宅のイメージを決める部分です。そこで今回は、屋根や外壁で使われる建材のひとつであるガルバリウム鋼板について詳しく解説します。

ガルバリウム鋼板とはどんなもの?

ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカで開発されました。開発したのは、ベスレヘムスチール社で、正確にはアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板です。古くから使われているため、定評ある建材といえるでしょう。しかし、建材の特徴を知らずに使うと、住宅がイメージと違う、予想していた耐久年数と違うといったことになるので要注意です。そこでガルバリウム鋼板の特徴を確認しておきましょう。

あらゆる建物に使われている

ガルバリウム鋼板は、あらゆる建物に使われている金属製の建材です。工場やお店などで古くから使われていますが、注文住宅でも利用されています。シンプルでモダンな雰囲気の住宅を作りたいという方には、適した建材といえるでしょう。

また、ガルバリウム鋼板は、外壁に使われているというイメージが強いかもしれません。しかし、外壁だけでなく、屋根や雨樋など、さまざまなところで使われています。近年は、注文住宅といった新築でもやく見かけるようになりました。

家電でも活躍

ガルバリウム鋼板の用途は、住宅の建材だけではありません。一般家庭で使われる家電にも使われています。たとえば、室内を快適にするエアコン、毎日の食を支える電子レンジなどです。また、街中で頻繁に見かける自動販売機や、工場などの使われる一部の機器にも使用されています。

素材

ガルバリウム鋼板は、鉄がむき出しになっている鉄素地の板に、各素材をメッキ加工しています。メッキに使われているのは、アルミニウム、亜鉛、シリコンの3つです。それぞれの配合比は、アルミニウムが55%、亜鉛が43.4%、シリコンが1.6%となっています。

ただし、ガルバリウム鋼板は、そのまま使うとは限りません。住宅などに使用するときは、業者ごとに塗装や加工を施します。塗装や加工を施したガルバリウム鋼板は、シンプルでありながらも独特なデザインに変化するでしょう。

ガルバリウム鋼板のメリット

何かを取り入れるときは、メリットが決断を後押しするのではないでしょうか。もし、外壁や屋根材の種類で悩んでいるのではれば、バルバリウム鋼板のメリットが理解できていないのかもしれません。当然ですが、ガルバリウム鋼板にも耐久力や軽さといったさまざまなメリットが存在します。

そこで、どのようなメリットがあるのかをひとつずつ詳しく見ていきましょう。

高い耐久力

ガルバリウム鋼板のメリットのひとつは、高い耐久力です。丁寧なメンテナンスを繰り返していれば、30年以上も維持できます。たとえば、一般的な外壁の場合は10年前後で外壁塗装が必要です。高い耐久力を支えているのは、亜鉛のもつ犠牲紡織作用と自己修復作用、溶出した亜鉛が腐食を防ぎ、長期経過したときは亜鉛溶出部分にアルミニウム酸化生成物が充填されます。

そもそも、注文住宅は決して安い買い物ではありません。機能性、デザイン性の重視はもちろんですが、住宅の維持に欠かせない耐久力も無視できないポイントのひとつです。ガルバリウム鋼板は、維持費の軽減を実現する高い耐久力を備えています。

ガルバリウム鋼板は軽い

ガルバリウム鋼板は、非常に軽いという特徴をもっています。ちなみにガルバリウム鋼板の1平方メートルあたりの重さは約5kg。一方、日本の住宅の代表的な屋根材のひとつである瓦は約60kg、軽そうに思えるスレートでも約20kgです。ガルバリウム鋼板は、数ある屋根材の中でも圧倒的な軽さを誇っています。

屋根が軽いと、住宅を支える柱などへの負担軽減や地震による倒壊リスクの軽減が期待できるでしょう。日本は地震や台風による被害が多い国です。しかし、ガルバリウム鋼板にすると、瓦が飛散や破損といった屋根の被害がないため、災害時の被害が軽減されるでしょう。

見た目が美しくスマート

見た目の美しさも、ガルバリウム鋼板の大きな特徴のひとつです。もちろん、一般的な屋根瓦も品を感じる素晴らしい屋根材ですが、ガルバリウム鋼板はシンプルであるため、見た目が美しくスマートです。スレートも同じようにシンプルですが、耐久年数が違います。

スレートの耐久年数は20年前後、ガルバリウム鋼板は、丁寧なメンテナンスを行えば30年以上も可能です。住宅の屋根や外壁は、つねに周囲の目に入ります。きれいな状態を長く保ちたい、周囲の住宅との差別化を図りたいと考えている方には、適した建材といえるでしょう。

カバー工法に適している

カバー工法とは、新しい建材をかぶせる工法です。たとえば、玄関ドアでカバー工法を用いる場合は、一般的に新たな玄関枠を既存の枠にかぶせて新しい玄関ドアを設置します。

こういった工法は、既存の柱などを取り除く必要がないため、住宅を無駄に傷めない、工期を短くできる、費用を抑えられるといったメリットがあります。そしてカバー工法は、一部の建材に限り、屋根や外壁にも可能です。そしてカバー工法に適している建材のひとつが今回ご紹介しているガルバリウム鋼板になります。

雨漏り対策にもなる

日本の住宅は、屋根が瓦、外壁は一般的なモルタルというケースが多いのではないでしょうか。どちらも長年採用されている実績の多い建材ですが、経年劣化が進むとひび割れが発生し雨漏りの原因となるので要注意です。一方、ガルバリウム鋼板は、金属製の建材ですから、瓦やモルタルのようなひび割れはしません。

ガルバリウム鋼板のデメリット

ガルバリウム鋼板には、たくさんのメリットがあります。しかし、デメリットがあるので要注意です。メリットだけで決めると、失敗する可能性があるのでデメリットもしっかり把握しましょう。

衝撃に弱い

ガルバリウム鋼板は、薄く加工した金属製の建材です。したがって強い衝撃が加わったときや重いものを長い期間乗せているときはへこむ可能性があります。万が一、へこんだときは、その部分が原因となり錆びが発生するかもしれません。屋根と外壁のどちらでガルバリウム鋼板を採用しても、強風による飛散物などには要注意です。

金属なので錆びる

ガルバリウム鋼板は、瓦やモルタルのようなひび割れはしませんが、錆びるリスクが潜んでいます。もちろん、錆びを防げる素材を使っていますから、簡単に錆びることはないでしょう。しかし、そもそも金属です。錆びるリスクはゼロではないので、錆びをできる限り抑えたいときは、フッ素加工の有無も確認しましょう。

費用が高い

日本の住宅で使われている外壁材は、ほとんどが窯業系サイディングです。窯業系サイディングは、デザインが豊富でコスパがよいことで知られています。一方、ガルバリウム鋼板は、耐久力などといったメリットが多い反面、窯業系サイディングに比べると費用が高くなるケースが多いので要注意です。窯業系サイディングとガルバリウム鋼板の施工費用の比較も大切ですが、10年、20年後のメンテナンス費用も念頭に置きながら検討しましょう。

まとめ

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板です。耐久力が高く、スマートなデザインのため、屋根材や外壁材としても活用されています。しかし、ガルバリウム鋼板には、メリットだけでなくデメリットも存在するので要注意です。ガルバリウム鋼板を採用するときは、メリットとデメリットの両方を理解したうえで結論を出あうことが大切になります。注文住宅は、夢のマイホームを叶えられる最大のチャンスです。世界に一つしかない住宅を目指して、ゆっくり検討しましょう。