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公開日:2019/11/15   最終更新日:2021/03/12

えっ!建て替えできないの?知っておきたい再建築不可物件


八王子市で新築の家を建てるために土地を購入する際、注意したいのが再建築不可物件です。再建築不可物件とはどんなものであるか、どういった理由で新築や建て替えができないのかを知らない人は少なくありません。ここでは再建築不可の物件についての詳細に加えて購入する際のメリット・デメリット、購入後の活用法などに関して解説します。

再建築不可物件の詳細と建て替えができない理由

再建築不可の物件とは、現在存在している建物を取り壊して新たに建て替えることができないと法律で定められた物件のことです。建築基準法の第42条の規定により、敷地が道路に接していない場合は建物を建築することができません。ここでいう道路とは幅員4m以上を指し、さらに土地が2m以上接していないと建築が認められないという法令です。

ただし例外があり、この規定が制定される前より建築され存在する建物に関してはわざわざ取り壊す必要がなく、そのままで問題ないとされています。また幅員4m未満でも建築基準法におけるみなし道路などに該当する場合は、新たな建築が可能となっています。

再建築不可の物件での建て替えができない理由は法律で定められているからですが、これら義務が課せられているのは都市計画区域にある物件のみです。都市計画が定められていない区域であれば適用されませんが、八王子市の市役所・役場との協議が必要であったり、市の条例による取り決めに従う必要があるケースも考えられるため購入する際には注意しましょう。

再建築不可物件を買う際のメリット

再建築不可の物件がどんなものかを知ると、物件を選ぶメリットが感じられず避けるようになるかもしれません。しかし他の人も同じ印象を持つということも販売側も想定済みで、不動産屋は価格を下げて販売することが多くなります。

その結果資産価値が下がるため購入価格はもちろんのこと、固定資産税など土地や住宅にかかる税金も安くなるということです。 加えて再建築不可の物件を求めるということは、昔ながらの住宅を入手することに繋がります。古来の建物を好む方はもちろん、工務店に依頼する形でリフォームやリノベーションなど改築を前提として暮らしたい方にも最適です。

さらには税負担が減るため、リフォームやリノベーション費用に資金を多く回すこともできます。好みの空間を、大きな予算をかけることなく得られるのは魅力的です。なお購入金額を安く抑えることができた分だけ、耐候性・耐震性や断熱性など住宅の基礎基盤の強化に充てることができる点も大きなメリットです。

ただ家の強度など現状を診断・把握するホームインスペクションが必要であり、改築に加えてその診断も工務店に依頼するか、工務店が業務を請け負っていない場合は別の業者に頼む必要があることは覚えておきましょう。

購入する際のデメリットやリスク

再建築不可物件を購入する上でのデメリットは、文字通り再建築できない点です。地震や火災・台風など自然災害で建物が半壊および全壊してしまうと、新たに建物を建てることができません。

購入する際にホームインスペクションを行って、耐熱や耐震など補強・補修を必ず行うようにします。家の補強が終わって住み始めても、定期的な点検とメンテナンスは必須です。

次に再建築不可物件は、通常は購入時の住宅ローンが通りにくいとされているのもデメリットの1つです。融資が通りづらい理由として、メリットである資産価値の低さが挙げられます。担保としての評価が低くなると、金融機関は融資を避ける傾向にあるからです。

債務者がもしも返済できなくなった際には該当する不動産を売却することで代金を回収しますが、再建築不可物件に関しては担保価値が低いため換金性が低くなってしまうため避けられやすいという構図です。

また永住する予定であればあまり関係のない話ですが、一般的な中古物件と比べて売りにくい点もデメリットとして挙げられます。新たに建て替えできない点や接道が狭くて車が入るのが困難な点、住宅ローンを組みづらいなどが理由です。物件としての価値が低くなるため、単純に価格がつかないということもその要因となります。

ただし土地を倉庫など建物以外の目的に利用する場合や、物件に隣接した土地の持ち主に売却する場合などには十分な利用価値があるため、その限りではありません。

購入した際における物件の活用法

物件を購入した際にホームインスペクションをきちんと行い、工務店に依頼して住宅の強化とリフォーム・リノベーションを施工することにより邸宅の寿命を長くすることで中長期的に住むことができます。それだけでなく、再建築不可の場合でも近隣の土地を入手することで建築が可能となる点も見逃せません。

これは購入時に接道義務が満たせてなかったとしても、近隣住宅の変化や周辺の土地を買い取る機会を得ることによって条件が変化し再建築が可能となるためです。当然、再建築が可能となる条件が満たされれば資産価値が上がります。将来売却を視野に入れている場合、購入時よりも高値で売却できるケースも少なくないということです。

また建築が不可の状態であっても、賃貸物件として貸し出すことはできます。昔ながらの住まいであれば、珍しく感じて借り手が付きやすくなることも十分考えられるでしょう。

その他、独自のノウハウを持つ不動産会社が積極的に再建築不可物件を買い取ることもあります。近隣住民と交渉して土地を買い取り、さらにリノベーションで資産価値を上げるといったテクニックを駆使することが多いです。再建築不可の物件は、このように手が出しにくいように見えて活用法は意外とあります

再建築不可の物件を売却する上でのポイント

もし現在再建築不可の物件を持っていて、手放したいというのであれば隣地の住人に買ってもらうという方法が良いでしょう。古来より不動産業界では、隣の土地を買うというのは一般的な手法であるからです。

その理由として、たとえ再建築が不可である土地であっても隣地に住む方にとってはいくつかのメリットがあることが挙げられます。 地続きの土地となるため、その不可の土地を買うことによって隣人自身の土地の価値が上昇します。土地の価値は前面道路によって変わるとされており、あらゆる土地が隣地を購入することで前面道路が変わって価値が変動するという訳です。

これにより再建築が不可能であった土地が可能となり、価値が大きく上昇します。その結果不整形地が整形地になったり庭・駐車場での利用ができたり、マンション・アパート用地として一体化ができるなど多くの利点が生まれます。

加えて第三者よりも隣人はメリットが多いため、通常よりも高い価格で購入してもらえる可能性が高いです。そのため物件を売却する際には、まずは隣地の住人に声をかけると良いでしょう。

条例を駆使することで建築可能となる場合も

都市計画区域に存在する再建築不可の物件は、建築基準法によって幅員4m以上の道路に対して2m以上敷地が接していなければならないという条件がネックとなっています。これを接道義務と言いますが、実はこれに満たない道路であっても建築不可にはならないケースもあります。

たとえば裏通りには4mに満たない道路があり、通り抜けが出来ない突っ込み道路と呼ばれるものも同様に建築基準法を満たしていませんが再建築は可能です。自分の土地を私道として特定行政庁に認可してもらう、位置指定通路も同じです。

中でも最も多いケースは、現行の道路の中心部から2m下がった場所であれば建築可能という条項が挙げられます。これらは建築基準法の第42条・第2項に規定があることから2項道路と呼ばれたり、道路とみなすという意味からみなし道路と言われるものです。

このように道路の中心線から2mの位置まで下がることをセットバックと呼び、これが必要な土地は有効面積が減る上に建築面積まで減ってしまうものの、条例を駆使することによってほとんどの土地で再建築が可能となります。

他にも周囲の土地条件に左右されますが、建築物の周囲において災害時に緊急避難ができる公園や広場がある場合、4m道路に接していなくても特例として建てられるケースがあるのも覚えておいてください。

 

八王子で長く住む予定で、なおかつ将来子供に譲るなど長期的に住む計画があるのであれば購入金額が抑えられる再建築不可物件は魅力的です。もちろん売却時の価格などリスクもありますが、賃貸・駐車場などの土地利用や隣地運用など再建築不可の物件であることを活かした利用法も存在します。八王子市内での物件を選ぶ際の1つの選択肢として念頭におくことで、物件選びの幅は大きく広がるでしょう。