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公開日:2022/09/15  

ハウスメーカーと工務店ではなぜ坪単価が違うのか

ハウスメーカーと工務店

坪単価とは、住宅会社を検討するときに役立つ数値です。しかし、坪単価を比較する際には注意点もあり、坪単価を誤った方法で用いてしまうリスクもあります。そこで今回は、坪単価の算出方法・意味・相場などの基礎知識をしっかり確認し、坪単価を使ってより正確に住宅会社を比較できる方法を解説します。ぜひ参考にしてみてください。

坪単価とは

坪単価は1坪当たりの建築にかかる費用を表したもので、一般的には、建物の本体価格を延床面積で割って計算されます。

たとえば、建物の本体価格が3,500万円で、延床面積が50坪だった場合は、坪単価は70万円です。逆に、坪単価に延べ床面積を掛ければおおよその建物の本体価格が想像できるので、便利でしょう。

これらの計算において注意したいのは、延床面積の単位を坪に変換して計算することです。1坪は1.818m×1.818m=3.305㎡の大きさであり、1平米は0.3025坪、1畳はだいたい0.5坪なので参考にしてみてください。

また、本体価格は建築に必要な足場の設置費や建材日・人件費が含まれたものです。延床面積にはベランダ・地下室・小屋収納・玄関ポートなどは含まれません。

そのため、ベランダがない家とベランダがある家とでは、ベランダがある家の方がベランダを施工するために費用がかかって本体価格が高くなり、かつベランダのスペースは延床面積にカウントされないので、ベランダがない家に比べて必然的に坪単価が高くなります。

とはいえ、坪単価は間取りや採用した構造によって、家ごとに大きく異なるものです。そのため、坪単価はあくまで目安として参考にしましょう。

坪単価の相場

坪単価の相場は、家をどの地域に建てるかによって大きく異なります。

住宅金融支援機構であるフラット35による2020年度フラット35利用者調査の結果を参照すると、坪単価の全国平均は約88万円で、首都圏で約89万円、近畿圏では約86万円です。

ただし、土地を購入する必要がない場合の坪単価の全国平均は70万円台になります。

坪単価に差が出る理由とは

同じレベルの設備・内装の家でも、ハウスメーカーと工務店によって坪単価が異なるケースがあります。

一般的には、ハウスメーカーの坪単価は30~70万円以上、工務店は40万円以上、設計事務所は70万円以上といわれています。

ではなぜこのような差が生じるのか。ここからは、住宅会社によって坪単価に差が出る理由をふたつ取り上げてご紹介します。

坪単価の算出方法が異なるから

一般的には、坪単価は建物の本体価格を延床面積で割って算出されますが、坪単価を計算する際に延床面積ではなく施工床面積を用いるケースがあったり、住宅会社によって本体価格に含まれる項目が異なるケースがあったりします。

施工面積にはベランダ・地下室・小屋収納・玄関ポートなど含まれるのに対して、延床面積にはこれらの面積は含まれないため、どうしても施工面積の方が延床面積よりも大きくなります。

そして、その結果、施工床面積を用いて算出した坪単価の方が、延床面積を用いて算出した坪単価よりも小さくなり、一見すると家の本体価格が安く見えるのです。

また、建物の本体価格は、工事費だけの価格で計算される場合と、設備やカーテン費などをすべて含めた価格で計算される場合などがあります。

このように、住宅会社が広告やホームページでそれぞれ提示している坪単価は条件が統一されていないため、そのままの値を比較するのでは意味がないのです。

なるべく正確に住宅会社を比較するためには、坪単価を算出するのに用いる値の条件を統一する必要があります。

家づくりの進め方が異なるから

住宅会社はハウスメーカー・工務店・設計事務所の3種類に大きく分けられます。ハウスメーカーは標準仕様をまず決めて、そのなかで好みのものを選ぶセミオーダー式住宅が一般的です。

すでに用意された設計プランがあったり、建材を工場で組み立てたりするため、比較的、設計や施工に手間がかからないのが特徴です。工務店は親身に相談にのってくれるのが魅力で、設計や施工に比較的自由が利くのも特徴的でしょう。

対して、設計事務所は自由なオーダーメード設計が魅力で、その分設計や工事に手間がかかるのです。

このように住宅会社によって家づくりの進め方が異なり、その方針の違いから建物の本体価格に差が生じ、その結果、坪単価にも差が出ると考えられるでしょう。

坪単価を比較する際に注意したいこととは

ここまで、坪単価は間取りや採用した構造によって大きく異なるとお伝えしてきました。そして、同時に、建築業者によって坪単価を算出するのに用いる値の条件がさまざまだということも解説しました。

これらのことから、坪単価はあくまで目安の数値であり、実際に建物を建てるためにかかる本体価格とは差がうまれるのは当然なことといえるでしょう。

とはいえ、どの住宅会社に設計・建築を依頼するかを検討する際には、坪単価は参考価格として有効です。そこで、ここからは、坪単価を比較するときに注意すべきポイントを4点ご紹介します。

坪単価の算出に用いる値は住宅会社によって異なる

一般的に、建物の本体価格を延床面積で割って算出される坪単価ですが、本体価格に別途工事費や諸経費がどの程度まで含まれているかは業者によって異なります。

さらに、坪単価を計算する際に、延床面積ではなく施工床面積を用いるケースもあります。

坪単価を計算する条件を統一してから比較する

坪単価を計算する条件は住宅会社によってさまざまであるため、複数の業者を比較検討する前に、本体価格の内訳を詳しく聞き取ったり、坪単価の算出方法を尋ねたりする必要があります。

ハウスメーカー・工務店・設計事務所などの広告やホームページに安い坪単価が記されていても、その値をそのまま参考にして業者を選ぶのではなく、設備や内装のグレードやオプションを確認しましょう。

そして、坪単価を計算する条件を統一してから比較するように心掛けてください。なるべく正確に坪単価を比較するのに有効な手段です。

広告やホームページに載っている家と全く同じ条件で家を建てるのは不可能

ハウスメーカー・工務店・設計事務所などの広告やホームページにはさまざまな家が掲載されていますが、まったく同じところにまったく同じ工期でまったく同じ家を建てたりしない限り、同じ条件で家を建てるのは不可能です。

家づくりは家によってさまざまです。かかる費用も家によって異なることを考慮に入れておきましょう。

坪単価はあくまで業者を選ぶときの参考価格

以上の3点から、坪単価はあくまでも参考価格であることを心に留めておく必要があります。坪単価は業者選びの際の比較検討には役立ちますが、建てたい家をどれほどの費用で建てられるのかは見積もりを参照した方が正確です。

まとめ

坪単価の算出方法・意味・相場などの基礎知識、坪単価を使って、より正確に住宅会社を比較できる方法を解説しました。一般的には、坪単価は建物の本体価格を延床面積で割って算出されます。

しかし、坪単価を計算する際に延床面積ではなく、施工床面積を用いるケースがあったり、住宅会社によって、本体価格に含まれる項目が異なるケースがあったりするため、坪単価を計算する条件を統一してから比較することが重要です。

また、坪単価はあくまで業者を選ぶときの参考価格であり、これから建てる家の見積もりとは差が出ることは、心に留めておきましょう。自分がどのケースの当てはまるのか、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。